近年の学生は、就職先を選択する上で、「ライフワークバランス」を重視する傾向になっています。彼ら/彼女らは、多少年収が劣っていても、よりプライベートが充実できる様な企業を選びます。
このような状況にあって、特にベテランの社会人からよく聞かれるのが、「ライフワークバランスなんてぬるい事を言ってないで、若いうちは仕事に全力を注げ!!」というご意見。
果たして、本当にそうでしょうか?
実は、企業の年間休日が少ないことが、新卒採用において不利な状況となりつつあるのです。
今回は、年間休日が少ないことの新卒採用への影響を解説いたします。
- 年間休日数が少ないことは大きな採用のデメリット
- 年間休日数が105日にいかないと求人が紹介されない場合も
- 多くの学生がプライベートの時間を大切にするようになっている
- 週休3日制によって労働生産性を40%も向上させた日本マイクロソフト社
年間休日数が少ないことは大きな採用のデメリット
就活生を取り巻く環境は、時代とともに変わります。
今の優秀な学生には、「会社にしがみついて生きていく」という意識が減り、逆に「個人のスキルを高めてキャリアアップする」という傾向が強まっています。
このような状況において、「社員を強く縛りつける会社」は魅力的に映りません。
結果として、年間休日数が少ない企業には、新卒採用時に以下のようなデメリットが発生します。
- 年間休日数だけで学生の候補から漏れてしまう
- 入社後に年間休日数が多い大学の同期などと比較し退職を検討しやすくなる
- 年間休日数だけでブラックなイメージを持たれてしまう可能性がある
- 優秀な学生が集まりにくい
※ただし、外資系投資銀行や外資系コンサルティングファームなど、長時間労働が結果として個のスキル向上につながると考えられている企業は、依然高い人気を誇っています
年間休日数が105日にいかないと求人が紹介されない場合も
大学側も、高校生が受験の際に就職率を気にする動きを見せている傾向にあるので、就職への支援を強化しています。
学生への求人紹介や、大学主催の合同説明会の際に、年間休日数が関係した動きを大学側がとっていることがあります。
具体的には、年間休日が極端に少ない求人は、学生に紹介せず、大学主催の合同説明会にもあまり呼ばれない傾向にあります。
現に、「年間休日が105日以下の求人は大学紹介の求人対象から除外する」という大学側の事例や、「年間休日数の少なさから大学の合同説明会への参加に苦労する」という企業側の事例が存在します。
学生に紹介する求人を年間休日で選ぶ大学は、これからも増加する可能性が高いでしょう。
多くの学生がプライベートの時間を大切にするようになっている
年間休日数が少ない企業は、年間休日を増やすことが、新卒採用者を増やしたり、質の良い学生を確保したりすることにつながっていくことになります。
つまり、年間休日数を増やすことは、既存の社員が喜ぶだけではなく、新卒採用にも良い効果をもたらす可能性が高いということになります。
休日数を増やすことは、様々な採決を得なければならない企業が多いため簡単ではないでしょう。
ですが、年間休日数を増やすことで目に見えて状況が変わる可能性があるので、休日数を増やすことを、年間休日が多いような企業が考えたとしても効果があるでしょう。
週休3日制によって労働生産性を40%も向上させた日本マイクロソフト社
「そうは言っても、これ以上休日を増やしたら業績が落ちてしまうよ!」というご意見があるかもしれません。
一見正しいように見えるこのご意見ですが、本当にそうでしょうか?
実は、これに関連した面白いニュースがあります。
日本マイクロソフト社が社内で行った実証実験によれば、週休2日制を週休3日制に変えたことによって、労働生産性が40 %も向上したというのです。
もちろん、全ての会社においてこの事例が当てはまるわけではありません。
ただ、極めて優秀な人材が揃っていると想定されるマイクロソフト社においてこのような結果が出たことで、特に先進的な企業がこの流れに追随する可能性があります。
そうなれば、優秀な学生はますますそのような企業に流れることになり、「休日が少なく、ひたすら仕事をし続ける会社」というのは淘汰されるでしょう。
優秀な学生を採用したいのであれば、是非、「休日を増やして労働生産性を上げる」という施策をとってみてはいかがでしょうか。